大学主席で卒業したのにうつになった話。パート5

前回は、1か月半でかなり状態的に悪くなっていると書きました。今回やっとうつ病という病名が出てきます。

 

1か月半で色々なことがあり、生活はかなり崩れていた。睡眠も十分とれない、もしくは悪夢で起きる、休日も仕事のことが忘れられなくて、飲酒量も増加傾向にあり、不安感なども出てきて、果ては電車通勤だったので、この電車にぶつかればもう死ねるんじゃないか、そうしたらこの苦しさから解放されるんじゃないかって思い出した。

さすがにこのままじゃヤバいと思いだした。なんとなく、異動した地で精神科、心療内科を調べてはいたが、たいていのところは初診を取る事さえ難しい現実を知った。地方都市の精神診療はこうも揃っていないのか、と思ったほどである。(都会も似たような感じであると思うが)

上司と報告の一件があってからの、次の休み。季節は春だった。あの背筋を伸ばした誇らしい姿の私は全くその面影もなくなっていた。

私は、スマホとにらめっこしていた。このままだとかなりまずい、でも、自分の症状で本当に精神科に行っていいのだろうか。受診を迷っていたところであった。かなり生活レベルが悪化して、希死念慮が湧いてもなお、まだ、自分は軽い方じゃないかって、自分なんかがこういう病院にいっていいのだろうか。追い返されたりしないだろうか。やはり、精神科・心療内科は敷居が高いイメージもあって、受診に後ろ向きな私がいた。でも、このままじゃ何も変わらないっと思って、どこか、今日行けるところってないかな、ないよな…と思って、ひたすらに病院を探した結果、なんと、当月に新規開業したクリニックがあって、まだ枠に余裕がありそうだということを知った。となると、この病院に駆け込むしかない、と思って、勇気を出して、本当に勇気を出して、何度も電話を掛けるボダンを押したり辞めてみたりした葛藤の結果、ついに電話を掛けることができた。この電話、自分の運命を大きく変える。およそ精神科・心療内科の初診で出てこないであろうワード「今から行けますか?」このワード。それに帰った答えは「大丈夫ですよ、気を付けてお越しください。」なんて言葉を言われた。これはその後色々精神疾患を取り巻く環境を調べていくなかでかなり稀有な状況であることがわかっていく。通常初診は数か月待ちとか、そもそも枠がないから初診停止しているところもあるとわかって、あの時、大丈夫って言われた、それがどんなに幸運なことかと思った。

とは言え、病院に向かう車内では、気持ちが揺れていた。こんなんで本当に行っていいのだろうか。初めて行く診療科、ドキドキした気持ちと、何もなかったらどうしようという気持ちと、でもこの苦しさから解放されたいという思いと色々重なって、かなり複雑な気持ちであった。

そのクリニックはビルの中ほどの階に位置していて、開院したてのピカピカのところだった。問診票を書くのもそこそこに、先生に呼ばれて、色々ヒアリングされた。どういう状況なのか、何に困っているのか、など色々丁寧にヒアリングしてもらった。結果、一通り聞き終わって先生から言われたのは、「重たいことを正直に伝えると、うつ病です。しかも、発症は社会人1年目のクレーム対応をしていた時期を推定できる。なので、反復性のものであって、場合によっては長いこと付き合っていかないといけない。」「仕事は即刻休んだ方がいい。」「私が出来ることはあなたを死なせないこと。」ということであった。

まずうつ病と告げられたことに対する受け止め方であるが、それを言われて、半分ほっとして、半分そうだったのか…と空を見上げる気持ちである。今まで幾度となく、うつ病チェックリスト的なものやってきて、うつの傾向があります。って言われてきたけど、お医者さんから本当に告げられて、自分のこの辛さの正体がわかったっていう意味のほっとした感じ。それに、でも現実としてそれを受け止めないといけないから、複雑なもやもやする気持ちもあったりするのであった。

仕事についてはまだ休職なんてレベルではないと思っていたから、告げられてびっくりした。先生に「ちょっと仕事については、その決断を下せません。」って告げた。とりあえず保留。先生からは休職には医師の診断書がいるが、日付を遡らせることもできるよって言われた。

死なせいないことへの受け止めであるが、高いところや電車を見るたび希死念慮が湧くので、それを抑えないといけないのは確かにあることだと思った。確かに私は別に死後に極楽浄土に行けるなんて崇高な考えはしていないが、でも今のこの苦しみからは脱却できるんじゃないかって思っている。苦しい。辛い。時にはなんで自分がこんな辛い目に合わないといけないんだと思い、時にはもう楽になりたいと思い、こんな思いを数年重ねた結果がこの「死なせない」ということかと思うと、考えさせられる。

 

即日薬物療法が開始された。初めてのむ向精神薬、ちょっぴり怖い気持ちもあったが、こちらも先生が、「今は昔ほど向精神薬の副作用もひどいものはないから、安心して飲んでほしい。」「ただし、頭やおなかに副作用が現れる場合があるよ」とも言われていたので、ちゃんと服用してみた。そうしたら、最初はちょっと気持ち悪さが出たくらいで、その他は問題なかった。その後家に帰って、仲のよい友人に電話して打ち明けた、くらいであとは自分の頭の中で自分はうつ病なのだというのがリフレインしていた。

そして次の出勤日、上司にうつ病であるか言うのを迷った。かなり迷っていた。正直、休むレベルなのか?って思っていた。そこで前いた部署で親しくさせて頂いていた方に電話してみた。そうしたら、「それは上司に伝えたほうがいいだろう。」ということであった。ここでも結局ほかの人に背中を押してもらうしかなかったのである。今回に限って言えば、本当にどうしようかまよっていたので何とも言えないが…。

上司はその日夕方まで出張だったので、帰ってそうそう「お話があるので、お時間いいですか。」と伝えて、ミーティングルームに入った。上司に、「実は、うつ病と診断されまして。」というと、上司は悲しそうな表情になって、今後どうするのか、どうしたいのか、を聞いてきた。私は、ちょっと言われたばかりで整理が出来ていません。と伝えた。上司から翌日は休むように言われた。そしてそのままGWまで有給などを使い休むことになった。

 

次回、GWにどういう風になったのか、お話していきます。